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  • 執筆者の写真FingerVision

農林水産省SBIRフェーズ3基金事業に5.6億円で採択、セル生産型ロボットの技術実証をスタート

農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業にて、「食品産業において活用するスマート技術の開発・実証」をテーマに、交付限度額、約5.6億円の採択を受けました。

これまでFingerVisionが食品工場に導入してきた「多品種盛付ロボット」を、本取り組みを通じて、セル生産型のロボットシステムへとアップグレードし、食品業界における様々な経営課題・現場課題に対応していきます。


FingerVision社が開発した多品種盛付ロボット:複数の食材を同じロボットシステムでハンドリング可能


農林水産省中小企業イノベーション創出推進基金事業 (フェーズ3基金事業)への提案

農林水産省が造成した「農林水産省中小企業イノベーション創出推進基金」では、スタートアップ等が社会実装につなげるための大規模技術実証(フェーズ3)が対象になっています。FingerVisionは、数ある公募テーマの中から、「食品産業において活用するスマート技術の開発・実証」に対して、コネクテッドロボティクス株式会社、株式会社Closerらとともにコンソーシアムを組成し、第1回公募に対して共同提案を行いました。

第1回公募では、111件(139社)応募のうち、25件(29社)のプロジェクトの採択結果となっており、「食品産業における食品ハンドリング技術の革新と社会実装」のテーマでの採択は本コンソーシアムのみとなっています。



FingerVisionが目指す技術実証

バラエティに富んだ多品種商材を生産するお弁当・惣菜業界では、

  • ①ライン生産型「~15名ほどの人員を配置したコンベア式の生産ラインで、スループット大×生産量大という形態で生産」

  • セル生産型「コンベア式の生産ラインを使わずに1人1人が多能工的に作業することで、スループット低~中×生産量可変という形態で生産」

の2つの生産方式が、生産現場の要件に応じて使い分けられています。そういった中で、本技術実証を通じて、FingerVisionは、後者「②セル生産型」をターゲットにした開発を進めます。具体的には、セル生産型でお弁当を生産する場合、容器供給、複数種類のおかずの盛付、全体の仕上がりの確認・検査、蓋閉め等の一連の流れを1人で行う必要があり、これらの一連のタスクを1台のロボットが多能工として完了させられるロボットシステムを開発します。特に難易度の高い「複数種類のおかずの盛付」タスクに関しては、これまでライン生産型を対象に開発・導入してきた「多品種盛付ロボット」を技術実証のベース技術(発射台)としながら、確実かつ早期に、実現を目指します。


セル生産型ロボットの付加価値:基礎編 Step1

「セル生産型」は文字通りマルチタスクを行うことが期待されているため、お弁当のような多品種食材を取り扱う必要がある製品においては、1台のロボットで対応することが技術的に難しく、食品業界の「セル生産型」の現場では、自動化の選択肢がさほど多くはないのが現状です。

一方で「セル生産型ロボット」が実現できれば、

  •  ライン生産型の稼働に必要な最低人数を確保できない場合でも生産が可能(例:15名シフトで1名でも欠員がでると、全体の稼働自体ができない、ことを回避)

  •  ライン生産型と組み合わせることで、ロボットシステムとしての稼働率を上げる(ライン生産の稼働時間外に、セル生産型ロボットを単独で稼働させ、製品の生産を続け「ロボットを使い倒す(=24時間稼働に近づける)」、ことができる)

といった、「自動化・省人化」といった観点から生産現場に付加価値を提供することが可能になります。


セル生産型ロボットの付加価値:発展編 Step2~3

また、本システムは、セル生産型がマッチする工場やラインでの「省人化・自動化」効果を一義的な目標としつつも、発展形 (Step2) として、

  • (Step2-1) オンデマンド型生産への展開 → オーダーに応じて生産する製品を作り分ける、カスタマイズする

  • (Step2-2) 分散型生産への展開 → セントラルキッチンではなく、売り場に近い場所で生産する

を視野にいれています。

ライン生産型では、一定数量の同じ製品を販売・生産する形態にフィットしやすい一方で、セル生産型ロボットでは、食品工場からみたお客様からのオーダーに応じて極論、1個1個個別に、盛付ける具材や量を変えるなどのカスタマイズ対応が実現しやすくなります。こういった機能を持つロボットと営業戦略とを整合させることで、お弁当自体の商品価値を上げ、「販売価格をアップ」させられる、という、単なる効率化にとどまらない付加価値創出に繋げることができます(Step2-1)。

さらには、ライン生産型での前提となっている「1か所の工場・ラインで集中的に生産する」ことが条件ではなくなるため、例えば、スーパーのバックヤードの惣菜盛付現場等に設置し、売り場に近い現場でも省人化・自動化効果を見込むことができます。これにより、店舗側での効率化に加えて、工場・店舗の役割分担・配送ネットワークの見直しなど、様々な経営上の自由度が加わり、食品小売・メーカに対する付加価値創出に発展させることも視野に入れています(Step2-2)。



FingerVision社が開発した多品種盛付ロボット:複数の食材を同じロボットシステムでハンドリング可能


加えて、上記Step2を組み合わせることで、お弁当・惣菜の生産に限定されることなく、外食レストランやファストフード店舗、キッチンカーなどでオーダーに応じてトッピングするロボットに発展させることも可能であり、食品業界に閉じない価値創造を目標にしながら、技術実証を進めます(Step3)。特に付加価値創出(横軸)の方向性を進化させる場合、単なる生産部門の自動化課題ではなく、製版一体で取り組むべきアジェンダになるため、経営層を巻き込み、「成長戦略」として位置づけながら、展開計画を具体化していくことをサポートしていきます。


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